オヤジランナーの走日記

サブ3を目指す素人オヤジランナーのブログです。

蹴るのでもなく、押すのでもなく、バネを使う

 以前の記事で、「若い人はバネのある走りをする」と書きました。しかしこの表現は、抽象的で分かりにくいと思います。では具体的にはどうなのか。歳を取ったらバネのある走りは出来ないのか。脚のバネとは、アキレス腱を上手く利用した動きのことを言うそうです。

 その場でジャンプする場合をイメージしてください。一番目は膝を曲げて沈み込んだ位置から真上にジャンプします。二番目は膝を伸ばしたまま、足首の返しを使って真上にジャンプします。どちらのほうが軽くジャンプ出来るでしょうか。二番目の方が軽くジャンプ出来るはずです。最初の方法だと、一度沈み込んだ体を、脚全体の力を使って持ち上げなければなりません。移動距離も多くなる為、機敏に動けません。対して、二番目の動きでは足首の返しだけで動くので、軽やかに、機敏に動けます。多くの方が一番目の膝を曲げた沈み込んだフォームで走っています。つまり、バネの無い走りです。

 アキレス腱を使うといっても、アキレス腱自体は伸び縮みしません。ふくらはぎの筋肉(外側にある腓腹筋とその下層にあるヒラメ筋)の途中で繋がっていて、ふくらはぎの筋肉が伸び縮みすることでアキレス腱が引っ張られるのです。バネを使うとは、このアキレス腱が引っ張られたり、緩められたりする時の弾性エネルギーを使うのです。アキレス腱は硬いゴムのような物なので、伸び縮みしなくても多少変形するので、変形したものが元に戻ろうとする性質を利用出来れば、バネのある走りになるはずです。

 垂直にジャンプする場合、地面に足裏が踵まで着いている状態ではふくらはぎの筋肉は伸びていて、アキレス腱にも力がかからず緩んで伸びた状態です。そこから踵を上げると、ふくらはぎの筋肉が収縮し、アキレス腱が引っ張られます。しかし、この地面に足が着いた状態から膝を曲げずにジャンプするには力が必要です。なぜならアキレス腱は引っ張られる一方で弾性エネルギーを利用出来ないからです。

 そこで見方を変えて、地面から足が離れた状態から着地する瞬間を考えてみます。空中に足がある時、足首は爪先下がりになり、ふくらはぎの筋肉は収縮します。しかし、アキレス腱には力がかかっていないので、伸びた状態です。地面に爪先が着く瞬間、ふくらはぎの筋肉が伸びるのと同時にアキレス腱にも力が加わり引っ張られます。そのまま引っ張られ続けると切れてしまうので、途中で元に戻ろうとします。このエネルギーを利用するのです。

 ここで注意したいのは、踵まで地面に着けてしまわないことです。踵まで着けてしまうと、アキレス腱が緩んでしまうので、弾性エネルギーを上手く利用出来ません。踵は着けずに、爪先が接地したら、素早くふくらはぎの筋肉を収縮させてジャンプし続けます。すると膝を伸ばしたままでも、軽やかにジャンプ出来ます。この動作をランニングに取り入れれば、軽やかなフォームが手に入ります。ポイントは『ふくらはぎの収縮』です。