とりあえず走ってみる

　私が走り始めた理由は話しましたが、走る事に関しての知識は何もありませんでした。体力作りの為にとりあえず走ってみる。只それだけです。又、何時まで続くかわからないので、シューズはいつ買ったか覚えていないスポルティングなるロゴの入ったものを靴箱の奥から引っ張り出し、いつも着ていたコットンのTシャツに、ポケットのいくつも付いたこれもコットンの短パンを履いて、大汗をかくのに慣れていないので、頭にタオルを巻いて、仕事が終わってから夜の街に飛び出して行きました。

　颯爽と走り出したのは良かったのですが、ペースも何も解らず、200mも走らない内に苦しくなり、400m程で立ち止まってしまいました。これ程までに体力が落ちてしまっていたのかと、唖然とするのでした。気を取り直して、公園の入り口まで走り、引き返しました。カッコ悪くて、はずかしくて公園の中は走れないのでした。

　往復2km程のそんな状況が2週間程続きましたが、その頃には連続して走れるようになっていたので、いよいよ公園デビューを果たすべく、公園の周回コースに足を踏み入れたのです。

　以前から自転車では走ったことがある道でしたが、自分の脚で走ると違った景色が見えてきます。それまでは気にした事がなかったジョギングしている方たちや、ウォーキングしている方たちの動きが気になるのです。同じ景色のはずが、見る立場、考えの違いによって違って見えるのは、発見でした。